当たると当てる
始めから禅問答にでも出てきそうな題ですが、この2つの言葉は全く違う意味を持ちます。上手なベテランですとその意味が解ると思いますが、簡単に言うと他人任せと自己責任の違いです。
この『ホンネ』を見ているハンター・シューターにはいないと思いますが、弾に聞いてくれとばかりガンガン発砲する人がいます。その人が言うには『撃たない獲物は当たらないから』と言います。これが真実を言っていますのでややこしくなるのですが、
『狙わない獲物は当たらない』と言うハンターもいます。この言葉の方が真実に近いと思います。
『銃は当たってなんぼ』ではなく『当ててなんぼ』の考え方が正解です。『当たった』のか『当てた』のかは大事な分かれ道なのです。皆さんの同僚や先輩の中には、獲った自慢ばかりする人がいると思いますが、その方の失敗談を聞いた事がありますか?自慢話より失敗談は聞いている人の参考になり、明日の上達のためになるのですが、『獲った、獲った』ばかりでは、実力で獲ったのかまぐれ当たりで獲ったのか判断に苦しむところです。この銃砲に関連する人や団体の中には、沢山の誤解や間違い、感違いがあります。その事に気付いて人が余りにも少ないので、間違いがいつまでも横行しています。
次回は『空撃ちはダメ』の誤解についてお話しします。
『空撃ちはダメ』
銃に関係するするほぼ全ての人は、『空撃ちはダメ』といます。でもなぜ駄目なのかその理由をはっきりと言える人には私は未だ会ったことがありません。ほとんどの人は『みんなが言っているから』とか『昔から言われているから』『カラ撃ちは銃が壊れるから』と言うのがその答えです。
『みんなが言っているから』と『昔から言われているから』はさしておき『銃が壊れるから』については、改めて考える余地がありそうです。現在でカラ撃ちが原因で銃を壊した経験のある人がいるでしょうか?いればお目にかかりたいと思います。何十年も前にはあったかも知れませんが、銃の改良が進んだ現在では全く考えられません。
むしろカラ撃ちが銃に悪いとすれば、銃を撃つともっと激しい振動が伝わりますがますが、その衝撃で壊れませんか?その点はどう考えるのでしょうか?壊れるのは物理現象の結果なのですが、説明が付きません。
それよりカラ撃ちは非常に大きな利点があります。それはカラ撃ちには大きな音も反動もない為、カチッと音がした時に撃発点の確認が出来る事です。人は狙った点で撃発すると考えますが、狙った点と 撃発点が違うのが普通です。
静かに固定的を撃つ時は勿論、ガク引きになりますが移動的を撃つ時も、カラ撃ちを通じてトリガーの落とし具合を経験する事ができます。止まってまっている目標も動いている目標でも、お金も実包も不要で練習できます。実包を発射すれば大きな反動で体が疲れるしお金もかかります。皆さんには費用を掛けないで上手になってもらいたいものです。これは鉄砲屋のオヤジだった者の本音です。
ネジを締める事について
皆さんネジを締める事はありますよね?その時どれくらいの力で締めますか?緩まないようボンドをつかう事がありますか?実は知っているようで知らないネジの締め方についてのお話しです。
締め付け強度は色々なHPに載っていますが,大雑把に言うと、ネジに合ったドライバー(幅と厚み)を使い、力一杯に締める事で十分だと考えます。緩んだら困るとボンド等を使う事はやめてください。締め直す時に苦労しますから。
それではネジが緩む原因ですが、何かを固定する時にネジを締めるのですが、その固定したい物が正しく収まっていない時にネジを締めても、振動で緩みます。ネジは締める前に固定するものが正しく収まっていてシッカリ締めれば緩むことは有りません。
ネジではありませんが、銃をトランクケースの中に入れ、車の後部座席に入れておいても、スコープが狂う事があると悩んでいる人がいました。これは心配のし過ぎです。撃った時の銃の反動と後部座席の振動を比べて考えると分かります。
次回は、スコープの狂いについての話です。
スコープが狂う事という事
『スコープが狂っていて獲物を逃がしてしまった』と言うハンターが多くいます。当社では保証書の通りにアメリカのメーカーに30本ほど送り修理を依頼しましたが、修理が必要だった物はわずか1本のみでした。あとは『おかしい』と言う本人の訴えにすべての項目をチェックしただけで送り帰されてきました。メーカーでは『異常は見つからなかった』のです。
『スコープが狂うという事について考えてみたいと思います。当社では射撃場で5発撃ち、そのグルーピングが何センチになるからこのスコープが狂っていると言った人は稀でした。ほとんどの人は獲物に当たるものだと確信して撃ったのに当たらなかったので、スコープが狂ったと結論を出してしまう人がほとんどでした。ですから何メートルで何㎝のグルーピングだからスコープが狂っていると理論を基に言っ欲しものです。
世の中にはいろいろなメーカーがあります。大まかに言って責任を持ってスコープを作るメーカーは、銃の値段の1/2位から倍位の値段をつけます。ですから1万円や2万円の安い製品は偽物かオモチャだと思います。あの何トンもの衝撃に耐えるスコープを作るのですから、細部にわたって目に見えない大変な苦労を重ねています。逆に言いますと簡単な衝撃で壊れてしまうものは無いと言えるでしょう。
『当らない』原因は言いずらいのですが、スコープではなく本人の練習不足の結果だと思います。スコープは目からコブシ1個くらい離して見るものなのですが、獲物が見えればいいというものではありません.スコープのセンターラインの延長線上に黒目の中心がいつもくるように撃つのが正しいと言われています。もしセンターラインの中心から黒目がずれるとしても、サイト合わせも実際撃つ時も同じ位置にあれば実用上問題はないと思います。とはいえセンターラインの中心で狙うのが王道だと思います。
先の『ホンネ』でも書きましたが、家の中でも出来るカラ撃ちが非常にいい練習が出来ますので、是非実行して下さい。引き金を引く前には実包が入っていない事の確認もお願いします。
ついでながら空打ちケースについて一言。銃は撃針が雷管をはたいた瞬間発砲します。ではその撃針はどこに当たってその動きを止めるのでしょうか。雷管に当たるだけでしょうか?正解は撃針の構造上機関部に作った出っ張りに当たりその前進を止めます。雷管に当たって止まるのではありません。
そこで一つの疑問が出てきます。銃砲店で扱っている空打ちケースの役割です。撃針の前進を止めるのは構造上作った出っ張りだとすれカラ打ちケースは無用です不安ならば自分の撃った後のケースでも入れておきましょう。変な事を考える鉄砲屋の考えです。
獲物を早く見つけるには
猟は相手が自然界の生き物ですので、まず見つける事から始まります。どう考えればば見つけ易いか考えてみます。
先ず①には自然界には意外と少ない、黒くて丸いものを捜すのが近道です。自然の中にある物で黒くて丸い物はあまりないと言えるからです。
次に太い木の傍を捜します。それはたとえ細い木でも胸部を隠そうとする動物の習性がある事を利用した考えです。
結論は『太い木の傍の黒くて丸いものを捜します。』私などは眼が弱いので、暗くごちゃごちゃしている山中よりも、明るく障害物も少ない畑とか牧草地で獲物を捜そうとしますが、そこは獲物にとって、何処から撃たれるか分からない危険な場所ですので、あまり留まりたくありません。もしいたとしても非常に用心します。最近では例え400m離れていても車が来ればすぐに逃げ出せる姿勢で草を食んでいます。ハンターは400m以上離れた距離を正確に撃つ技能が求められます。これは北海道の様な広い土地の話ですが、本州の様な狭い土地でも獲物の習性は変わりませんので、黒くて丸いものを捜す事には変わりません。
更に大事なのは練習です。カラ撃ちを繰り返し、何処で撃発するかを体得できれば鬼に金棒となること請け合いです。特に本州では獲物が近いので立射が多くなりますので、カラ撃ちで練習をしましょう。皆さん皆さん頑張って下さい。
シカが増えているという事について
最近の報道によるとイノシシ等も増えて農作物等に色々悪さをしているといると言われています。